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2007年6月の6件の記事

2007年6月30日 (土)

古文漬け

前回書いてから、もう2週間経ってしまった...(早ッ!)

ここ最近、古文にはまっている。そもそも、雅楽という古い音楽に携わっていながら、当時の言葉(書き物)がわからないということにちょっとした歯痒さがあった。ここにきて、ちゃんとやってみようか?なんて...

070630_013101 ちょうどタイムリーな古文の通信講座なんぞをみつけたのでお試しで聴講中。未然・連用・終止・連体・已然・命令、カ行下二段活用、係り結び...など、用語そのものがえらく懐かしい。

 

古文・和歌...T's color の曲で古今和歌集の和歌などを引用することが少なくないので、さぞ詳しいのだろう? ...と思われている節もあるのだが、何を隠そう学生時代、古文(というか漢文)が嫌いで嫌いで、挙げ句、単位を落として留年しかかったくらい興味がなかった。

それが大人になるにつけ、というか雅楽にはまるにつけ、当時の背景となるこういった平安文学(和歌)そのものに俄然興味が沸いてきた。理系科目以外は学問にあらず(?)...だったのが、まさに180°転換沙汰!(この俺のエピソードが「おもしろ日本音楽史(釣谷真弓著)」という本の序文になってます)

しかし、実際に読んでみると英語より難しい。わかりそうでまったくわからない。高校の基礎古文ですら単位を落としかかった人間には敷居が高すぎる!

ただ、この時代(特に古今和歌集・拾遺和歌集・後撰和歌集あたり)の言葉の音の響きとか流れにはすごく惹かれるものがある。明確な言葉の意味はわからないけれども、雰囲気というか伝えたいことのニュアンスは伝わってくる。

070630_023601 突き詰めれば“言霊(ことたま)”にまでたどり着くのだろう。言霊の集大成と言われる祝詞(のりと)にも興味があって、以前、数万円出して延喜式(927年)祝詞(巻8)の解釈本なんかも買ったことがある。
(←遣唐使時奉幣[モロコシニツカヒヲツカハストキミテグラヲタテマツル]という、遣唐使派遣の際に奏上した祝詞)

 

そうやって掻い摘んではきたのだが、ここにきて、もうちょっとちゃんと勉強したいな?と思い始めたわけ。さすがに真名序にまで手を出すつもりはないが、せめて仮名序くらいは読みたいよね~...

ただ、目的は「古文や和歌を読むこと」ではなく、自分で「詩(詞)を古文で書きたい(詠みたい)!」というのが難儀なところ。まだ英語の方が書きやすい。ちょうど、曲を思いついたときに琵琶や箏を弾くより、ギターやピアノの方が簡単なのに近い感覚だろうか?

まぁ、数年がかりの、ひょっとしたら一生無理な話かも知れんが、しばらくは意図的にはまってみるつもり。それがいつ、音楽の方に活かせられるのかは甚だ疑問なのだがね...

2007年6月16日 (土)

富士見通り

あちらこちらに「富士見通り」というものがある。自宅の横の道もそう呼ばれている。

Imgp1783 朝から自転車でウロウロした帰り、ふと見ると、滅多に見えない富士山がお出ましになっていた。

...確かに“富士見通り”だな。

2007年6月14日 (木)

かつてのギター師匠と…

久々にアコースティックギターのライヴに行った。打田十紀夫さんと岡崎倫典さんのジョイントライヴ

スタイルのまったく違うこの2人のジョイント自体が初の試みだったこともあるが、何より2人ともかつて(15年以上前!)の師匠なのだ。もう1人、小松原俊さんを加えた3人が俺のギターの師匠。

俺は元来、人に教えて貰うのが大嫌いな性格なので、師匠と言ってもいわゆる師事してたとかじゃなく、友人が教えて貰うのに付いていってる内に懇意になって、あれこれ遊んで貰った(?)程度なんだけどね...。俺はギターテクニックより、エフェクターの使い方やピックアップのことなんかに興味津々で、そういう事はあの頃に覚えたんだなぁ。

打田十紀夫さんは年に1度くらいは会うのだが、岡崎倫典さんはホントその頃以来。以前の記事にも書いたが、今や3人ともアコースティックギター界の大御所と言える存在。ライヴを見ながら昔のことを色々思い出したり、15年経って俺は何が変わったんだろう?とか妙にナーバスちゃんになってみたり?!

070613_224901 終わってから挨拶がてらに記念撮影(左が倫典さん、右が打田さん)。しばし近況報告などしたり、当時の知り合いと再会したり、妙な同窓会モードを感じつつ、箱を後にしました。

倫典さんに会うなり“おーっ! まだやってんの?(雅楽のこと)”と言われて思い出した! 俺が初めて雅楽・邦楽と関係ない他人の前で笙を吹いたのは倫典さんのところでだったのだ。もう1つ言えば、俺のホールじゃないライヴハウスでのデビューはコマンチ(小松原俊)さんのソロライヴにゲストで出たときだったんだっけ。

それに当時、倫典さんがプロデュースしてた某女性ヴォーカリストのレコーディングで、初めてメジャーのレコーディングスタジオってものを垣間見た。(ちなみに、そのヴォーカリスト(沢田聖子さん)の『See You Again』というアルバムの「友達」という曲のバックコーラスで、あろうことか若かりし俺の声が紛れてます!)

ギターそのものではなく、それに付随して経験した色々なことが今に繋がってるというのも面白いもんだね。

2007年6月12日 (火)

八ヶ岳 プリプロツアー

3日間、八ヶ岳周辺で籠もってました。...って、季節柄、シャトレーゼとかRC野辺山ではないよ!(> スノボ関係者)

知り合いの邦楽演奏家のCD制作に向けてのプリプロのお手伝い。八ヶ岳周辺の個人所有の小さなホールを幾つか選んで、レコ-ディングしながらエンジニア(コプロ?)の視点からの意見をあれこれ...。と同時に、個人的には Note PC を核にしたモバイル・レコーディングを試す意図も。

070610_120501 最初は清里の近くにあるホール。木造のシューボックス型のホールなんだけど、内装がニスのようなもの(防腐とか断熱とか断湿とかの為なんだろうか?)で覆われているのと、天井の内装材のせいか、邦楽器には響き過ぎる。

洋楽器を少人数で弾くには気持ち良いだろうけど、箏や三味線のような直接音が命の楽器の録音には音が痛くってちょっと厳しい感じでした。

070610_161001中日、移動の途中で20年近くぶりに清泉寮に寄りました。 俺が20代前半の頃、空前の清里ブームがあって、その頃に訪れて以来。当時は清里と言えば清泉寮のソフトクリーム! “美味しかった”という記憶しかないのだけど、そのソフトクリームを食べてきました。やっぱり美味しかった...

その後、すぐ横にある「やまねミュージアム」に行ったのだが、残念ながら 16:00 の閉館時間を5分ほど過ぎて行ったので入れなかった (;;)

070611_101301 そして山を少し下って大泉にある次のホールへ。ここも木造で外観は八角形、天井部が渦巻き貝のような形をした変わったホール。到着してホールに入った瞬間、上部に連なるの窓ガラスを隠すための大きな障子が目に入った。“ここは良いかも?”という直感。

個人的には、日本家屋の室内という環境で育った邦楽器には、畳の床と障子(または襖)という環境が、音響特性上、一番合ってると思っている。紙の程良い反射と吸収が邦楽器にはピッタリなのだ! ホールといえば、どこも洋楽器の響きを基準に設計されているので邦楽器には合わない。レコスタで畳の床は有り得ないが、せめて壁が障子というところはないんだろうか?といつも思っている。“響き”を売りにしているホールやレコスタはいっぱいあるけど、その大半は残念ながら邦楽器には不向に思える。

で、このホール。初期反射が少し気にはなるけど、案の定、かなりポイントの高い響き。ただ、渦巻き天井なのと内部が非対称の設計なので、楽器の位置を数十cmずらしただけで響きがコロっと変わるのが難点と言えば難点。時間がた~っぷりあれば、曲によって演奏位置を考えるのも面白いとは思うが...

どのホールも音楽好きのオーナーがやっているので親切だし、都会のホールにありがちな時間課金に追われることもなく、気分的にリラックスしてできるのが何より Good! しかしまぁ、結論から言うと、あれこれ試しながらのプリプロや本番前の練習に籠もるにはすごく良いけど、外部音の遮断に弱いので、本チャン録音となると厳しいかな?って感じはある。

でも自然の中で時間を気にせず集中して何かするには、コストパフォーマンス的には街中のスタジオに籠もるより遙かに良い環境(ただし、どこも電気楽器系はNG)。財力があればバンドのメンバーとか連れてきて、籠もって音作りとかできたら良いだろうなぁ~!

豪勢なホールも良いけど、こういった個人所有の小さなホールを訪ねるのも、オーナーの人柄が音に出てたりして面白いなぁ~...と感じた“八ヶ岳ツアー”でした。


■興味ある人向け

今回は短い日数の中で移動が伴うので、俺が持ってる機材の中で最小限の装備で挑む!というコンセプトがありました。装備は以下...

・Note PC: Toshiba SS2010 P3-866Mhz 512MB 20GB
・Audio I/F: RME DIGIFACE(PCMCIA-T2 CardBus)

・Mixer: YAMAHA O1V96 V2(ADAT Opt. in/out)
・DAW: MAGIX Samplitude 8.0 & Steinberg Cubase SX2
・Mic: AKG C451B(Stereo Pair) & C391B×2
・Rec Property: 44.1KHz/32bit float

実感としては、小編成のプリプロならこれで十分! 本チャンでもマイクプリさえちゃんとすれば大丈夫かも? 但し、Note PC だとリモート制御できないので、ホール内に本体を置かなければならず、若干のファンノイズ&ディスクノイズは避けられない。

唯一失敗だったのは電源コンディショナー。簡易式のものしか持って行かず、ちゃんとした機材(自分が持っているのは Shinano GPC-1500)を持って行かなかったこと。2つめのホールでメインDAWである Samplitude と DIGIFACEのデジタル同期(ASIO経由)が上手く取れず、Cubase に切り替えて回避(RME/ASIOはSteinbergの系列なのでドライバの相性はバッチリ)。おそらく電源系の問題ではないかと??

経験者はわかると思うけど、サンプリング周波数のデジタル同期って意外とトラブルが多いんだよね...

2007年6月 8日 (金)

ついに渋公

ついに渋公(渋谷公会堂:現在はC.C.Lemonホール)デビューした。(^^;

070607_080702なんと言っても日本ポピュラー界の殿堂。

中学時代、ギターを始めた頃に良く聴いていたイルカのライブアルバム「あしたの君へ」の収録場所。10代後半にはまりまくった BOØWY の初ホールコンサートの会場であり、後に解散宣言した伝説の場所。今の俺に多大な影響を与えた Deep Forest元はじめのコラボライブ、etc...。

そして何より、上京して“一瞬”通っていた音響関係の学校のイベントで初めてモノホンの「卓」というものを垣間見た場所。ここを起点とした話はいくらでも出てくる。

その頃、俺が雅楽器を持ってここのステージに上がるなんて誰が想像しただろ?

C.C.Lemonホールになって、外観は綺麗になったが中は変わってないらしい。ステージ袖で、そしてステージで、演奏より何より ... いつも憧れのミュージシャン達を見る自分が居た客席を、ステージ側から眺めるのが何とも感慨深かったな。

他にも出演者はいっぱい居たけど、こういう気持ちでステージに立って居たのはポピュラー上がりの俺だけだと思う。もっとも、手にしているのがギターじゃなく笙であることに微妙な?を感じつつ...

いつも思うんだけど、初めてコンサートに出演したときの自分が堂々と楽屋に入っていける嬉しさとか、憧れのミュージシャンがプレイしていたのと同じ場所に立つ感激とか、拍手される側に居る瞬間の感動とか ... 素人臭いと言われそうだけど、そういうのがなくなったらパフォーマーとしての音楽はやめようと思っている。

それを改めて感じた日だったな。

2007年6月 4日 (月)

キツツキ

『キツツキを演奏した。』 ...これだけで何のことかわかる人はかなりの雅楽オタクだね。

キツツキ、漢字で書くと「啄木鳥」。そう、楽琵琶の3大秘曲の1つ、「啄木」のこと。陰陽師で有名になった源博雅三位ですら、伝授して貰うために逢坂の蝉丸の家に3年間通い詰めたと今昔物語に残されている曲。

神奈川にある某お寺で、開闢会(かいびゃくえ)という催しがあり、そこで西園寺左大将家伝来の絵巻物の展示があり、それに合わせて招かれて演奏してきた。(西園寺家:琵琶を家業としたスーパー上位の公家/左大将:有職故実で大まかに言えば、左大臣・右大臣に次ぐ3番目のポスト)

楽琵琶というのは通常、雅楽の合奏の中で使用されるだけなのでピンで演奏することはまずない。が、今回は楽琵琶ピンだったので少々迷い気味なセットリストを組んだのだが、最後の切り札として『啄木』をやってみた。人前で演奏するのはさすがに初めて。

Takuboku なんせ、いわく付き(?)の「秘曲」とされている上に一度は廃絶した曲なので、残されている譜をどう解釈して演奏するか?は奏者に委ねられている部分が多い。と同時に、さすがの俺も若干のプレッシャーはある。

実際に弾いてみた感想としては、やはり合奏の中で、ある種の定型パターンとして位置付いてしまう雅楽の古典曲とは違い、ソロの曲だけあって面白い。この曲にしかない調絃だったり小技があったり、弾いてて飽きないってのかな? 一言で言うと気持ち良い。

しかし、この曲を持ち曲にするには、もうちょっと研究者とかの意見を聞いて模索しないと解釈がわからない部分も多いのだ。

でもまぁ、今日は個人的には良い経験でした。

【セットリスト】    ■ 壱越調 撥合
■ 壱越調 遊聲
■ 平調 越天楽(笙の唱歌付き)
■ 秘曲 啄木

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